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Q003

季節対策 乳牛 夏場に乳脂肪が下がって困っています。バイパス油脂が良いと聞きましたが、どのような種類を選べば良いでしょうか?
ルーメンに負担をかけずに乳脂肪の元となる飽和脂肪酸(パルミチン酸)の給与をオススメします。

乳脂肪はどこからくるの?

乳脂肪は①繊維の消化によって生成される酢酸(酪酸)から5割、②飼料中の脂肪(主に長鎖脂肪酸)から4割、③蓄積された体脂肪の分解によるものから1割という構成でできています。
バイパス油脂はこのうち、②の部分に当たります。

脂肪酸の種類

脂肪酸の種類には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2つがあります。どちらも牛にとって有効な栄養素ですが、飽和脂肪酸の方はルーメン通過後、小腸で吸収されたのちに乳腺で乳脂肪となるので、乳脂肪対策には飽和脂肪酸が良いといわれています。
多くの不飽和脂肪酸は正常なルーメン環境下であれば、ルーメン細菌によって飽和脂肪酸に変換されますが、ルーメンpHが低くなると乳脂肪に変換しにくい物質が生成されます。その為、給与してもあまり効果が期待できなくなってしまいます。
よって、夏場などアシドーシスになりやすい時期の乳脂肪対策には飽和脂肪酸、特に乳脂肪の元となるパルミチン酸の給与をオススメします。

脂肪酸主な種類期待されること
飽和脂肪酸パルミチン酸乳脂肪率の増加
不飽和脂肪酸オレイン酸BCSの回復、乳量の増加
リノール酸繁殖性の向上

給与するときの注意点

ルーメン内がアシドーシス状態であるとバイパス油脂を給与しても効果が薄くなってしまいます。
暑熱対策をしっかりと行い、粗飼料を食べさせたり、ブルーコンシェルのようなpH緩衝するサプリメントを給与してアシドーシスにならないように気をつけましょう。
※飼料設計上、飼料中の脂肪が5%を超えないようにしましょう

給与するタイミング

バイパス油脂は、乳脂肪が下がり始める前から給与を始めるとより効果的です。目安として100g程度から給与し、乳脂肪の値を見ながら給与量を増やしていきましょう。

夏場の乳脂肪対策は、暑熱対策とセット!環境+エサの両面から対策していきましょう!